「依存症から解放された真の癒しの島を目指して・・・」 医学博士 琉球大学人文学部福祉文化学科教授 山代 寛

山代寛

「依存症から解放された真の癒しの島を目指して・・・」

医学博士 琉球大学人文学部福祉文化学科教授

山代 寛

 

自称、本邦初の禁煙学教授を名乗って来沖して7年目になりました。タバコの真実を伝える活動を行っているものとして寄稿の機会をいただいたことを感謝しています。

さっそくですが、まずFCTC(タバコ規制枠組み条約)についてご紹介します。FCTCは喫煙による健康被害の防止を目的とした公衆衛生分野で初の国際条約です。WHO世界保健機関の報告によると、世界全体で毎年600万人がタバコによって死亡しており(そのうち受動喫煙による死亡が60万人)、今後さらに増えると予測されています。今すぐ対策を講じなければ21世紀には10億人がタバコによって殺されると警告しています。

この深刻なタバコの害から世界の人々を守るため、11年前にWHOはFCTCを発効しました。現在日本を含む世界177カ国が締結しています。この条約の第8条は、屋内施設の100%完全禁煙を実現するための法的規制をとることなどを求めるものです。しかしながらタバコ産業の利益を優先させる国の施策により日本の受動喫煙対策は先進国で最低レベルです。受動喫煙対策だけでなく、国が履行しようとしないFCTCの条項はほかにもいろいろあります。タバコ税を大幅に上げることもFCTCに盛り込まれた条項ですが我が国ではうやむやになったままでほかの先進国の半分以下の値段でタバコが手に入ります。自動販売機も廃止されませんし、写真入り警告も導入されないままです。しかし国の施策が進まなくてもわれわれにできることがあります。それはタバコ産業が覆い隠そうとしているタバコの真実を知り、タバコを遠ざけることです。

本年11月15日(土)と16日(日)に、第8回日本禁煙学会学術総会を沖縄コンベンションセンターで開催いたします。会長という大役を仰せつかりましたが、タバコの真実を世にしらしめる絶好の機会だと考えています。FCTCの精神にのっとり、喫煙者を「悪」ととらえず、非喫煙者vs喫煙者の対立軸を無くし、タバコに支配されない人間社会の構築を目的として沖縄大学に沖縄ニコチン依存症研究会を立ち上げて5年、タバコフリーアイ(愛)ランド沖縄をめざして活動していますが、学会のテーマも「めざそうタバコフリー愛ランド」とさせていただきました。

沖縄の貧困率、ワーキングプア率は全国最悪ですが、その背後にタバコを始めとする依存症があります。そこで「貧困とタバコ」の問題を題目としたシンポジウムをこの学会の目玉として計画しています。  また沖縄県は貧困率だけでなく、COPD罹患率、メタボ率、アルコールによる肝硬変、ドメスティックバイオレンスなど依存症関連の日本一が目白押しです。長寿県復活の実現のためにもそれら依存症への対策が重要なのですが、これまでそれら依存症の援助職の交流が意外なほどないことに気がつき、どの領域についても必要最低限の支援はできるようになることを目的にしてANDOGネットワーク (愛称:沖縄アンドーナツ)を一昨年立ち上げることができました。ANDOGとは、以下5つの依存症、A(Alcohol) N(Nicotine) D(Drug) O(Overeating & severe Obesity) G(Gambling)の頭文字です。現在会員数は150名を超えていますが、なかでも琉球GAIAスタッフの参加が頼もしいのです。実は琉球GAIAの皆さんとの出会いはこのANDOG研究会立ち上げのときが初めてでしたが、研究会の議事録作成や会計など裏方の仕事をしっかりしてくださりありがたく思っています。また鈴木代表を始め、このANDOG研究会参加をきっかけにタバコの真実を理解しタバコを遠ざけることができているスタッフが増え、施設自体も禁煙化が進んでいるとお聞きし最高に嬉しく思っています。

現在、沖縄市のちばなクリニック、西原町のアドベンチストメディカルセンターの2ヶ所で禁煙外来を担当しています。覚せい剤をやめたがタバコがやめられない、とかアルコールをやめたがタバコがやめられないという患者さんが時々いらっしゃいますが、それだけニコチンの薬物としての依存性が強いのだなあと実感しています。逆に禁煙外来最終受診日、卒煙証書を手渡すときにパチンコも一緒にやめたと打ち明けてくれた患者さんや、タバコを遠ざけることでお酒ものまなくて良くなった患者さん、タバコをやめてこどもが可愛くなったと笑顔で語ってくれた患者さんなど、ニコチンに奪われていた幸せを取り戻すことで他のものにとらわれていた幸せも取り戻すことが出来たのだなあ、禁煙ってただタバコをやめるということではなく人生まで変えてしまうような出来事なんだなあ、とこちらが納得してしまう出会いも多々あります。もしあなたが禁煙をためらっている、あるいは禁煙を無理だと思っているなら是非とも禁煙外来をご受診ください。何も怖がることはありませんし何も失うものはありません。ニコチンの依存性は強ければつよいほどそこから開放される喜びは大きなものとなるはずです。

さて、今回の禁煙学会のもう一つの目玉としてニコチンと他の依存症との関連についてのシンポジウムも予定していますが、シンポジストとして鈴木文一代表に登壇いただく予定です。琉球GAIAの真の癒しの島をめざす活動を全国発信していただき、ますますの発展につなげていただきたいと願っています。

お問い合わせバナー