「癒されるから回復する」・幸さん

「癒されるから回復する…」 GAIA家族会 幸さん

私たち家族が始めて薬物の問題に気づいた時の驚きと混乱。私は、こどもを心から愛し、こどものことを1番に考えていました。

問題が発覚した時、子育てに自信を失い自分を責め続けました。私がどうにかしないと!私がこどもを守る!回りに気づかれ

ないように!今なら間に合うという考えにとらわれ、問題解決のための行動がより深刻化し巻き込まれ共依存の世界にはまり込

んでいく結果となりました。

次々と起こる問題の対処に、時には眠らずに仕事に行ったり、問題がおきるたびに気持ちが押しつぶされそうになりました。誰

にも話すこともできず孤独な日々。やがて、1人で考えることが苦しくなり、病院や相談の場を求めて動き始めました。

そんな時、鈴木さんと出会いました。ガイアには、鈴木さんをはじめ回復者が大勢いて、薬を止めて生き生きと生活している人

がいました。それは私にとって衝撃と共に希望でした。そうだ!この子にも薬をやめる方法がある。回復できる!この子を理解した

い。私がしてあげることは何?

こどものおこしている薬物の問題は、犯罪ではなく依存症という病気ということがわかり、病気なら治療方法があると肩の荷が

おりたことを今でも鮮明に思い出します。病気の理解のために勉強会や家族会に参加しました。その中で子どもの世話をするの

ではなく、こどもの問題は本人に任せ、自分自身のことを取り組むことを学びました。こどもが傷を受けていることはもちろんですが、

私自身も傷つき心も体もボロボロの状態でした。早く解決したい私には、途方もない時間に思われたのですが、とにかくみなが

回復している方法を形だけでも真似をしてみようと思ました。困難な問題に取り組むには、まず自分が元気になれるように行動を

始めました。家族会への参加や、1人旅をして美しい自然の中で疲れた心を癒してみたり、好きなパッチワークに気持ちを集中

させたりしました。そして、生き方を見つめ考え方を変えていく12のステップや家族の回復のプログラムにであいました。

私にとっての家族会

ガイアでは、東京で月1回の家族会と、他に女の子を持つ家族を対象にした「ハイビスカス」という家族会を行っています。

ガイアの家族会では、年に1回宿泊研修を行います。今年も神奈川県三浦海岸のホテルでおこなわれた宿泊研修会に

出席しました。6回目ですが、毎年人数が増えて40人近くの方が全国から参加しています。1日目は新潟医療福祉大学の

近藤あゆみ先生の勉強会でした。近藤先生の家族のための回復プログラムは、毎年行われています。今回のテーマは

「回復の道を歩き続ける」というテーマでした。「本人との関係」「自分の心と体」「家族関係」「自分の生活・人生」をそれぞ

れの時期に分けて考えてみるというテーマでした。4つのグループに分かれてテーマに合わせて家族同士で話しあいをしまし

た。まだ薬が止まらない人、矯正施設に入っている人、回復のプログラムにつながっている人、社会で仕事をしている人、いろ

いろな段階の家族がそれぞれの立場で、意見を出し合いました。この日、始めて参加の人も抱えている問題は同じ。1人では

辛くて悲しくて誰にも話せない悩みが、大きな声で悩みを話し、それに共感してくれる仲間がいる。「こんなことがあった」「こんな気

持ちだった」時には、笑い声も上がり勉強会と言っても和やかな雰囲気でした。グループ発表が始まると、お互いの気持ちに

共感したり、納得したり、あっという間に知らない人と気持ちを共有して打ち解けている心地のよい空気、癒される空気、1人では

ないという孤独からの開放感を味わいました。夕食には、みんなで豪華なバイキング料理。混乱の時期には、味も感ぜずに

生きるために食べていたご飯が、今はおいしいと皆さん食欲旺盛。夜は、グループに分かれてミィーテングをしました。終わると

仲間と温泉につかり、また部屋に戻って深夜までおしゃべりをしました。2日目は前日の勉強会を生かして、1年間の目標をた

て、達成のために必要なことを整理して全員でミィーテングです。自分を見つめ、こどもと関わり方を変えていく。毎回参加し

て、気づきと勇気をもらいます。依存症の相手を変えるよりも、自分の価値観や考え方を変えたほうがうまくいく事に気がつきまし

た。そして、相手にイライラせずに対応できることも学びました。研修会が終わったあと、睡眠不足のはずなのに「心が温かい」

「心が癒されている」「エネルギーが湧いてくる」不思議と、ざわついた心が平安になり、体は疲れているのに帰る頃には、みん

なの顔が明るくなっていました。

幸せの実感

この問題が起きて10年余。あんな困難があったにもかかわらず、私は今とても幸せです。以前より思考に柔軟性が持て、心

が豊かになり本当の人生が見えてきたからです。子どもは子ども。私が子供の人生を生きるのではなく、私は自分の人生をしっ

かり生きることの大切さをこの問題から気がついたのです。提案どおり行動を変え、こどもとへの働きかけ方を変えてみたら問題を

起こしていたこどもの薬が止まり、こどもも仲間の中で自分を見つけて回復にむかい始めていました。回復のプログラムは私の気

持ちや考え方を見つめることができ、私自身生きることが楽になりました。福祉の仕事をしている私の実践にも生かされていて、さま

ざまな相談を受けたときの参考になります。人の痛みを表面的に理解するのではなく、問題を整理してアドバイスができるのは、こ

の子がいて苦しい経験があったからなのです。あんなに厄介と思ったこどもを認め、心から愛し、生きにくさを抱えながらも仲間の中

で生きているこどもが、いとおしいと思えるようになりました。こどもも私も同じ悩みをもった人に囲まれ、心が癒されていることに気がつ

いたのです。傲慢で謙虚さもなかった私を変えてくれたのは、問題を起こしたこどもなのです。

時々沖縄を訪れて離島を旅し、美しい自然に癒され、この子から教わることが多い人生。さまざまな体験や出会いの中で、

心が揺さぶられ感情が豊かになり、癒されるから回復していけるのだと思います。今後もこの子と、素敵な人生になるように共に

生きていきたいと思います。

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