「GAIAが目指す回復とは・・・」

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「GAIAが目指す回復とは・・・」

琉球GAIA代表理事 鈴木文一

現在、GAIAには毎日10件ほどの新規相談が入ります。相談者はそのほとんどがご家族の方々で、本人が直接相談されてくるケースは非常に稀です。これが依存症の特徴の一つともいえますが、ご家族の方々はなんとか治療につながってもらいたいと思っていても、当の本人にはその気がまるでないといったケースがほとんどです。そして長い期間依存症と向き合い、大変傷付いてきたご家族の方々には家族会や自助グループに参加して頂き、ご自身のケアと本人に対する適切な対応を学んで頂きます。そして多くの回復者と出会って頂き、依存症は「回復出来る病気」なんだということを信じれるようになって頂きます。そしてスタッフと連携を取りながら、本人を治療につなげるための関わりに取り組んで頂きます。

こうした関わりの中、やっと本人が治療につながってきますが、私がこの仕事を始めた20数年前よりは随分と短い期間で本人が登場してくるようになったと感じています。そしてここからが本人にとって回復のスタートとなりますが、依存症リハビリというスタンスから考えると、【クスリが止まった時点】が本当の意味での「真の回復のスタート」となります。多くの回復者がクスリを止める以上に、止まった後の方が大変だったと話します。実際にクスリを止める為に仲間の力を借りたり、スタッフに助けを求めたり、それはそれで大変な作業ではありますが、クスリが止まったあとに取り組む対人関係の問題や、趣味や余暇の過ごし方の獲得や家族関係の修復、または金銭管理や恋愛など、人間として生きていく上で大切な事を学んでいくことが非常に大切なことで、再発を防ぐ重要なポイントだと思います。またこうした長い回復の道のりを共に歩む仲間や、伴走してくれる援助者、スタッフとの出会いも回復には欠かせないことだと思います。

GAIAでは基本となるプログラムを6か月としていますが、これはまず6か月間のシラフの期間を目指そうということで、決して6か月で回復するという意味ではありません。その6か月の間にスタッフや仲間と本人が良い関係を築き、共に次の目標となる一年のシラフ期間を獲得するところまで入寮プログラムを継続することが理想的だと考えています。

私が以前勤めていた施設では、家族とは一切連絡を取らずにプログラムに取組んで頂いておりました。実際、ある一定の期間シラフの生活を送るようになると、殆どの方が焦りだします。もう仲間と会わなくてもやっていけるのではないか、地元にいる以前の仲間とも今度はしらふで上手く付き合っていけるのではないか、など自分なりの方法を試したくなる時期です。この時期をどう乗り切るのかがGAIAプログラムの一つの大きなポイントとなります。これは家族と連絡を取り合うことを許可しているGAIAにのみ起こる事例です。多くの仲間は公衆電話などから直接家族に連絡をとり「もう自分は回復した」ということや、いかにGAIAで苦しい思いをしているかなど、あの手この手を使って家族を自分の思い通りにコントロールしようとします。しかし回復者の多くは「家族はもう自分の思い通りにコントロールすることは出来ない」と認識したことが自身の回復にとって非常に効果的だったと話します。やはり、依存症からの回復には「自分の責任は自分でとる」ことや、家族の援助なしに自立出来るという経験が必要不可欠となります。ですからこのスランプの時期を家族はスタッフやOB、先行く仲間の家族と密に連絡を取り合い、うまく乗り切っていくことが大切です。

依存症の特徴に「欲しいものは直ぐ欲しい」「やりたい事はすぐやりたい」ということと、「よく怒るがすぐ謝る」ということがあります。こうした依存症の症状に振り回されないために、自分一人で答えを出すのをやめて、答えを出すための手伝いをしてくれる人を常日頃から確保しておくことが重要です。そして、助けを求めるときは「どうしたらいいでしょう?」と全面的に預けるのではなく、「どうしたらよいかとても迷っているので、最適な決断が出来るよう手助けしてもらえませんか」と言えるようになることが望ましいと思います。もちろんこの最適な決断が出るまで本人には待ってもらう。つまり本人の思い通りにすぐ決断しない。GAIAでは「待つ・保留」というのが本人にとって良いリハビリになると考えています。当たり前なことだと思われるかもしれませんが、相手が自分の思い通りにならない時・自分のペースに沿わない時でもじっくり待てるような人間になることが一つの大きな回復であり、成長だとGAIAは考えております。

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