「沖縄で回復していくという選択肢」

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「沖縄で回復していくという選択肢」

琉球GAIA代表理事 鈴木文一

GAIAは「沖縄の大自然の中で、仲間と共に楽しみながら、ゆっくりと着実に回復を目指す」を理念に一人一人の個性を大切にしたきめ細やかな支援を心がけています。

私が、依存症リハビリ施設のスタッフとして働き始めたのは、平成3年からです。

当時の施設は東京の下町で繁華街が近くにある住宅街にありました。日本に初めて出来た薬物依存症のリハビリセンターです。

働き始めて2年目の時にアメリカのミネソタ州にあるヘーゼルデン研究所という施設に研修に行きました。その施設は街から離れた広大な大自然の中にある施設でした。

ヘーゼルデン研究所で感じた事は、ここはアルコールや薬物に関する刺激の無い、安全な場所だという事です。そして、非常に衝撃的だった事は、700人の回復者スタッフで200人の入寮者をケアしているという事でした。施設内にある、病院で働く医師や看護師もほとんど回復者という事にも、また驚かされました。

この研修から学んだ事は、やはり依存症は脳の変化によりアルコールや薬物、ギャンブルに対する渇望感が非常に強くなってしまう病気で、治療を始めてしばらくの期間は、アルコールや薬物、ギャンブルに関する刺激の無い安全な場所で過ごしながら、依存症と言う病気について学ぶこと、再使用を防止する為の様々なスキルを身につける事が重要なポイントの一つだという事です。

依存症者は薬物や、アルコール、ギャンブルが生活の全てになっていて、それ以外の人生を上手く楽しめない、または忘れてしまっている為、自分が心から楽しいと思えるような趣味や余暇の過ごし方を見つけていく事がとても大切です。

琉球GAIAが沖縄と言う地を選んだのには、「今まで付き合っていた友人、問題に巻き込まれていた家族、慣れ親しんだ環境」から離れ、今までとは全く違う環境である沖縄の大自然の中でなら、新しく人生を再スタートさせやすいと考えているからです。

また依存症と言う病気は、長い年月をかけて、その人の生活や考え方、コミュニケーションの仕方までも変えてしまいます。仲間との共同生活の中で起きてくる様々な対人関係の問題にしっかり向き合い、しらふで解決していけるようになる事が重要です。

また、依存症からの回復には医療との連携が欠かせません。提携医療機関である、かいクリニックとの密接な連携を保つことで、利用者の回復を安全かつ円滑に進むよう努力しています。

琉球GAIAの特色の一つにスポーツプログラムがあります。体を鍛えることで、確実に体形が変化していく、引きこもっていて青白かった体が、日に焼けて健康的な小麦色の体になっていくなど、目に見えて自分が変わっていく事を確認出来る事が本人の焦る気持ちを抑える事にもつながっていくと考えています。

また健康な対人関係を学ぶ最初のステップである「相手の良いところを見つけ、勇気を持って口に出してみる」という事にも有効と考えています。

多くの仲間はスポーツに取り組んでいますが、一方で資格取得に取り組んでいる仲間も大勢います、現在では高卒認定専門学校に2名の仲間が通っていますし、大学にも2名の仲間が通っています。利用者の健康な精神状態を保つためにスタッフが心がけている事が3つあります。

一つは、所属感が持てているという事。これは琉球GAIAの仲間の中に居場所があり、琉球GAIAが安全で、安心出来る場所である事。

二つめは、認められているという事。これは自分のありのままを仲間の中で受け入れられているという事です。

三つめは、成就している(トライした事が実る)という事。

この三つを利用者が感じながら、沖縄の大自然の中、仲間と共に新しい人間関係を構築していく事が回復のキーポイントだと考えております。琉球GAIAでは、集団生活を中心にしていますが、回復の状態に応じてアルバイトや、専門学校、資格取得の勉強などに取り組むなど、個性、個別性を重視し、きめ細やかな個々の能力開発に力を注いでいます。

現在は入寮者9名、通所者10名にスタッフ5名という小さい施設ですが、ここ沖縄から全国の依存症から回復したいと願っている仲間に対し、これからも回復のメッセージを発信し続けたいと思っております。

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