「依存症から回復したいと願う仲間に、様々な選択肢を提供したい」

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「依存症から回復したいと願う仲間に、様々な選択肢を提供したい」

GAIA代表理事 鈴木文一

11年前私が沖縄に、琉球GAIAを立ち上げた経緯は、「依存症から回復したいと願う仲間に、様々な選択肢を提供したい」という想いからでした。そして利用者の方々、一人一人の個性を大切にしたきめ細やかな支援を心がけながら今日まで活動して来ました。

今回は、琉球GAIAが大切にしている事をお話しして行きたいと思います。

私自身、テーマにしていることは多くありますが、まず一つ目はグループがオープンである事です。琉球GAIAは勿論ですが、家族会も含め、他の治療機関や援助者と連携が取れている事が重要であると考えています。他のグループに参加する事を奨めない関わり方をしている治療機関も多々有りますが、琉球GAIAとしてはそうした事に囚われず、グループの中でも、家族会でも他の治療機関との関わりを大切にしています。

二つ目は多くの回復者モデルがいる事です。100人いれば100通りの回復があると言われている依存症リハビリにおいて、大勢の回復者モデルが側でサポートしてくれると言うのは、治療につながった新しい仲間にとって非常に心強い事です。現在は琉球GAIAのある那覇市に29名のOBが生活していて、その内10年以上のクリーンタイムを持つ方が5名、5年から9年の方が5名、1年以上の方が11名おり、その中には大学や専門学校に進学したり、高校卒業の試験を受けたりしながら資格取得に向け、励んでいる仲間も増えてきました。そういった意味で琉球GAIAの周りに小さいですが回復者のコミュニティーが出来上がって来ました。薬・アルコール・ギャンブルが止まった後も、しばらくの期間は仲間のコミュニティーの中で生活することによって、安全かつ確実に回復の道を歩んでいけると考えています。実際、スタッフが気付かない点にOBが気付き、スタッフに相談をしてくれたり、スタッフ以上にOBが仲間の再使用のサインに気付く事も良くあり、そうしたかかわりの中、何とか再発せずに乗り切って来た事も多々あります。またOBが定期的に施設を訪れ12ステップセミナーやメッセージを運び続けてくれる事も大きな支えになっていて、やはり回復に必要なのは、(提案)以上に(グッドニュース)だと感じます。この部分を施設のOBが請け負ってくれている、これは非常に重要な事です。

そして三つ目は、琉球GAIAが【元気を取り戻せる場】になる事です。これは施設の中に常に笑顔や笑いが有るといった事です。琉球GAIAでは、スタッフが仲間に対して、叱責したり、感情的になったりせず、共に回復を【楽しむ】事を大切にしています、これは数年前に琉球GAIA理事・嘱託医の稲田隆司先生から「笑顔があるところに人は集まる」と言う言葉を聞いてから、琉球GAIAの理念として大切にしている事の一つです。私が考える良いスタッフとは、笑顔で沖縄の生活をエンジョイ出来ているという事が前提にあります。やはり病んで、疲れて、怒りっぽい人からはあまり良いメッセージは届かないと言う事です。依存症からの回復にはある程度時間が掛かります。その道のりを仲間と共に自分なりのペースで歩き続ける事、その横を伴走してくれる仲間やスタッフと、楽しみながら自分なりのテーマ(問題点)に取り組む事で、依存症からの【回復】+人としての【成長】にもなると確信しています。

私がイメージする回復とは、幸せになる事、平凡な生活に慣れその中から楽しみを見つけて行けるようになる事です。また家族関係が修復出来る事や、自分が健康な家庭を築き、子育てをして行く事も回復に欠かせない事だと考えています。その為にも琉球GAIAでは家族と連携を取りながらプログラムに取り組んで頂いています。これは他の施設と大きく異なる部分だと思いますが、利用者の状態が安定してきた段階で、一時的に家族の元に帰省してもらったり、沖縄まで来て頂き、定期的に合同面接を行ったり、一緒の時間を過ごしてもらいながら、共に回復の過程を確認し合う事もしながら、家族関係の修復に取り組んで頂いています。家族が出来る一番の援助はやはり、家族が家族自身の問題に取り組む事や、共依存症から回復したいという願望を持っている事だと思います。こういった関わり方をして行くためにも、家族が家族会や自助グループに参加して頂くことを強くお奨めしています。

実際、近藤あゆみ先生(新潟医療福祉大学)に協力して頂き、琉球GAIA開設時より実施してきました利用者の方を対象としたアンケート調査では、家族が共にプログラムに参加して頂いている方の方が、参加していない方より、【明らかに回復率が良い】とした結果が出ています。このように家族と連携を取りながら、回復の道を歩むというリハビリを琉球GAIAの特徴として定着させて行きたいと考えております。

これまで多くの仲間と共に生活をして来た23年間を振り返ると、依存症からの回復には回復者の数だけ回復のパターンが有る。という事を実感しています。琉球GAIAはこれからも既存の回復パターンに利用者を当てはめる事無く、新たな回復のモデルになる仲間との出会いを楽しんで行きたいと考えています。

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